「ES」と「CS」というと、まったく別のものという感じを受ける方が多いと思います。
それはそうですよね、従業員満足と顧客満足ですからね。従業員満足というと、どうしても休日日数や残業時間の短縮、福利厚生などが思いつくかと思います。そして顧客満足というと、お客様に感動を!そのためには?というようなことが思い浮かぶのではないでしょうか?
従業員満足を高めれば、お客様満足が低くなり、
お客様満足を高めようとすればするほど、従業員には負担をかけていく。
この2つは、どうもそりが悪いなと思っている方も多いのではないでしょうか?
でも、もしこの2つがつながり、その上「売上げ」まで直結したら理想だと思いませんか?
従業員満足を高めれば高めるほど、顧客満足は高まり、そしてそのまま売り上げに直結していく「ES=CS=売上げ」という公式です。
実は、コトマーケティング的には、この公式を基本に置いています。
それを可能にするのが「独自化コピー」です。
例えば、大阪の茨木市に外壁塗装専門で「マツミ」という会社があります。
この会社の独自化コピーは、
「親兄弟の建物と思って塗らせていただきます」
これは、先代の社長の頃から、何かあったら「親の建物だったら、どんな対応をする?」と社員に問いかけてきたコトバがベースになります。
この会社は、元々公共事業が9割以上で、一般事業(一般住宅やマンションなどの工事)がほとんどなかった。消費者に価値を伝えるために当時の営業部長がコトマーケティングを学び、その時に、社内のことや社員のコトバ、社長のコトバを振り返りながらつくったのです。そして、もう一度スタッフ皆で考えたのです。「親兄弟の建物だったら、どんなコトがしてあげたいか?」を。ここからマツミの快進撃が始まります。約1年で一般事業を立ち上げ、利益を5倍にまで伸ばすのです。
でも正直一筋縄でいかなかったのも事実です。この独自化コピーを決め、チラシ、ホームページはもちろんのこと、工事用のヘルメットや養生シートまでにもでかでかと「親兄弟の建物と思って塗らせていただきます」と書いたら、若手の工事スタッフの数名が辞めると言い出した。その理由は「こんなカッコ悪いのはイヤだ」ということ。そんな中、一本の電話が社長宛にかかってきたのです。電話主は工事現場の近くの住所の方。一瞬クレームかな?と思った社長は身構えたが、話の内容はこんな感じだった。
お客様「お宅の現場をみせてもらったんですけど」
社長 「ありがとうございます。何かございましたでしょうか」
お客様「シートに、親兄弟の建物と思ってぬりますというようなことが書いてあったけど、本当ですか?」
社長 「もちろん、その思いでやっているのは間違いなく本当です。ただ、すべての人の行動がそうできているとはいきませんが、100%を目指しやっています」
お客様「わかりました、お宅に頼みたいから自宅に来てもらえますか?」
こうして受注したのです。
それまで社長の中にあった少しの疑問が吹き飛びました。
「よし!我が社はこれでいこう!」と覚悟した瞬間でもあります。
その後、採用にもこの独自化コピーを活用し、同じ思いを持った社員を採用することになり、以前にもましてチーム力が高まり、お客様の支持も熱くなっている。
このように、独自化コピーが軸となり、そのコトバと思いに共感するスタッフが集まり、そのスタッフ同士が「何ができる?」「どうしたらできる?」を考え行動するなことが、お客様に伝わり満足に変わっていく。そして、それが売上げと利益に直結しているのです。
ES(従業員満足)=CS(顧客満足)=売上げ
この軸になるのが、独自化コピーなのです。
独自化コピーは、決して独創的ではありません。独自化に向かってのコピーです。
・誰の、どんな役に立てるのか?
・誰に、どんなお手伝いができるのか?
・お客様への姿勢やスタンス
こういったことを、社内外に分かりやすいコトバで紡いでいく。
それが社内を通す軸に、そしてその軸がお客様に繋がっていくのです。
多くの企業がこの独自化コピーをつくることから、独自の価値を生み出し、それが「ES=CS=売上げ」につなげています。
一例を紹介します。
・体が3℃、心が10℃あたたまる(新潟・松之山温泉)
・車を通して、日常生活を3倍楽しくなる(姫路・まるさん自動車)
・シマカゲは幸せ家族の立会い人(岐阜・フォトハウス シマカゲ)
・今より【名手製造所】(豊橋・ヤマモトスポーツ)
・守ってきた近江牛の味わいに人間味というスパイスを利かせたい(彦根・千成亭)
・リラックスできる歯医者さん、子どもの歯医者嫌いをなくすお手伝い(板橋区・仁愛歯科クリニック)
・ひと手間かけて、ふた手間減らすお手伝い(岸和田・産業クリーニングSOC)
・痛みをチャンスに!前より動く体をつくるお手伝い(尼崎・さいの整骨院)
・お湯・人・笑顔で元気になる“もうひとつのふる里”であり続けたい(山梨・源泉館)
・親兄弟の建物と思って塗らせていただきます(茨木市・マツミ)
このように、独自化コピーを軸に、ES=CS=売上げと繋がっていってくださいね。
応援しています!

コトマーケティング協会代表理事。12年で1,200社以上の会社やお店と一緒に、売上アップや集客アップについて実践を繰り返し成果を出し続ける。商店街や温泉地など、地域の活性化にも意欲的に取り組み、実績も多数。年間の講演回数は80回を超える。